汲み見てし心一つをしるべにて
野中の清水忘れやはする
- 歌の意味
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かつて汲んで味わったときの心ひとつを道しるべとして、野中の清水を忘れることなどあろうか。かつて心を通わせたあの人を忘れはしない。
- 鑑賞
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巻第八 恋歌下 263
かつて汲んで知った野中の清水を、そのときの心を道しるべに決して忘れはしないと詠み、心を通わせた人を忘れない思いを表した一首である。
古今和歌集のよみ人しらずの歌に、昔の野中の清水はぬるくなっても、もとの心を知る人は汲むと詠む歌があり、それを踏まえている。
初句「汲み見てし」は、完了の「つ」と過去の「き」の連体形で、かつて汲んで味わったことを示し、相手と心を通わせた過去を表す。
二句「心一つを」は、そのときの心ひとつをという意で、変わらぬ思いの拠り所を示す。
三句「しるべにて」は、道案内としてという意を表す。
四句「野中の清水」は、播磨国印南野にあったとされる歌枕で、古今和歌集の歌以来、昔の恋人やもとの心をしのぶよすがとして詠まれた。
結句「忘れやはする」は、反語の係助詞「やは」と連体形「する」による係り結びで、忘れることなどあろうかと結ぶ。本巻の第二百六十首と同じ結句である。
くみみる:水を汲んで味わう。転じて相手の心を知る
しるべ:道案内、手引き
のなかのしみづ:播磨国印南野にあったとされる清水。歌枕
- 作者
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藤原仲実
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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逢ふことも我が心よりありしかば 恋は死ぬとも人は恨みじ
- 次の歌
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浅茅生に今朝置く露の寒けくに かれにし人のなぞや恋しき