まだ知らぬことをばいかが教ふべき
人を忘るる身にしあらねば
- 歌の意味
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まだ知らないことを、どうして教えられようか。わたしは人を忘れる身ではないのだから。
- 鑑賞
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巻第八 恋歌下 268
人を忘れる心を教えてほしいという前歌の求めに応じる形で、自分は人を忘れたことがないのだから、知らないことは教えようがないと切り返した一首である。相手を忘れたという非難を、忘れることを知らないと巧みにかわしつつ、変わらぬ心を示している。
初句「まだ知らぬ」は、まだ知らないという意で、経験のないことを示す。
二句「ことをばいかが」は、係助詞「ば」で取り立て、疑問の副詞「いかが」で反語を導く。
三句「教ふべき」は、可能の意の「べし」の連体形で、どうして教えられようかという反語の三句切れである。前歌の第二百六十七首の「教へよ」を受けている。
四句「人を忘るる」は、前の二首と同じ句を三たび用い、人を忘れることをめぐる一連を結んでいる。
結句「身にしあらねば」は、強意の「し」と打ち消しの「ず」の已然形に「ば」が付いた確定条件で、そういう身ではないのだからと理由を倒置して結ぶ。
をしふ:教える。手ほどきをする
- 作者
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祐子内親王家小弁
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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さりとては誰にか言はむ今はただ 人を忘るる心教へよ
- 次の歌
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幾かへりつらしと人をみくまのの うらめしながら恋しかるらむ