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並み立てる松の下枝を蜘蛛手にて
霞みわたれる天の橋立

歌の意味
並び立つ松の下枝を、橋の蜘蛛手のように四方に張りめぐらせて、一面に霞みわたっている天の橋立よ。
鑑賞
巻第九 雑歌上 274

 丹後国の天の橋立を、立ち並ぶ松の下枝を橋の蜘蛛手に見立てて詠んだ一首である。「橋立」の名に合わせて橋の部材である蜘蛛手を持ち出し、霞にけむる松並木の景を、本物の橋のようにとらえた趣向が見どころである。
 前の二首に続く霞の歌で、巻頭の第二百七十二首から三首、霞のかかる水辺の名所が並べられている。

 初句「並み立てる」は、存続の「り」の連体形で、松が並んで立っている様子を表す。
 二句「松の下枝を」は、松の下のほうの枝をいう。
 三句「蜘蛛手にて」は、蜘蛛の足のように四方に分かれることで、橋の柱を支える筋交いも蜘蛛手と呼ばれたことから、結句の「橋立」と縁語をなす。
 四句「霞みわたれる」は、存続の「り」の連体形で、一面に霞んでいる様子を表す。前の二首の霞を受けている。
 結句「天の橋立」は、丹後国の歌枕で、体言止めにより名所の全景を示して結ぶ。

しづえ:下のほうの枝
くもで:蜘蛛の足のように四方に分かれること。また橋脚を支える筋交い
あまのはしだて:丹後国の名所。松の茂る砂州
作者
源俊頼
出典
詞花和歌集
前の歌
須磨の浦に焼く塩釜の煙こそ 春に知られぬ霞なりけれ
次の歌
長居すな都の花も咲きぬらむ 我もなにゆゑ急ぐ綱手ぞ