長居すな都の花も咲きぬらむ
我もなにゆゑ急ぐ綱手ぞ
- 歌の意味
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長居をするな。都の花ももう咲いたことだろう。わたしも何のためにこうして綱手を急がせているのか、都の花を見るためにほかならない。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌上 275
旅先から都へ急ぐ舟の上で、都ではもう花が咲いただろうと思いやり、ぐずぐずしてはいられないと心をはやらせる一首である。舟を引く綱手を急がせるのも都の花を見るためだと、問いかけの形で旅の帰心を表している。
初句「長居すな」は、禁止の終助詞「な」で、長くとどまるなと呼びかける初句切れである。
二句「都の花も」は、係助詞「も」で、都の花もまたという意を添える。
三句「咲きぬらむ」は、完了の「ぬ」と現在推量の「らむ」で、今ごろはもう咲いただろうと思いやる三句切れである。
四句「我もなにゆゑ」は、何のためにと問いかけ、急ぐ理由が都の花にあることをほのめかす。
結句「急ぐ綱手ぞ」は、舟を引く綱である綱手を急がせることをいい、係助詞「ぞ」で強く言い切って結ぶ。
つなで:舟を岸から引くための綱
- 出典
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詞花和歌集
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並み立てる松の下枝を蜘蛛手にて 霞みわたれる天の橋立
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木のもとを住処とすればおのづから 花見る人となりぬべきかな