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木のもとを住処とすればおのづから
花見る人となりぬべきかな

歌の意味
木の下を住まいとしているので、自然と花を見る人になってしまいそうなことだ。
鑑賞
巻第九 雑歌上 276

 木の下を住まいとする身であるから、わざわざ花見に出かけるまでもなく、おのずと花を見る人になってしまうだろうと詠む一首である。住まいを持たない修行の身の不自由さを、花見の風流へと転じたところに、軽やかなおかしみがある。
 作者の花山院は、在位二年足らずで出家し、のちに諸国で修行を重ねたことで知られる。木の下を住処とするという言葉には、そうした修行の境遇がうかがえる。

 初句「木のもとを」は、木の下をいう。
 二句「住処とすれば」は、已然形に「ば」が付いた確定条件で、住まいとしているのでという理由を表す。
 三句「おのづから」は、自然と、しいてしなくてもという意を表す。
 四句「花見る人と」は、花見をする風流な人をいう。次歌の第二百七十七首からも花を見る歌が続く。
 結句「なりぬべきかな」は、強意の「ぬ」と推量の「べし」の連体形、詠嘆の「かな」で、きっとなってしまいそうだと結ぶ。

すみか:住む所、住まい
作者
花山院
出典
詞花和歌集
前の歌
長居すな都の花も咲きぬらむ 我もなにゆゑ急ぐ綱手ぞ
次の歌
散らぬ間に今ひとたびも見てしかな 花に先立つ身ともこそなれ