散らぬ間に今ひとたびも見てしかな
花に先立つ身ともこそなれ
- 歌の意味
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花が散らないうちに、もう一度見ておきたいものだ。花よりも先にこの世を去る身ともなりかねないのだから。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌上 277
散る前にもう一度花を見ておきたいと願い、その理由として、自分のほうが花より先に死ぬかもしれないからだと詠む一首である。はかない花の命に自らの命を重ね、老いや無常を思う切実な心がこめられている。
前歌の第二百七十六首の「花見る人」を受け、花を見ることに命の思いを重ねている。
初句「散らぬ間に」は、打ち消しの「ず」の連体形で、花が散らないうちにという意を表す。
二句「今ひとたびも」は、もう一度という意で、係助詞「も」でせめてもと願う気持ちを添える。
三句「見てしかな」は、願望の終助詞「てしかな」で、見ておきたいものだという三句切れである。
四句「花に先立つ」は、花よりも先にこの世を去ることをいう。
結句「身ともこそなれ」は、係助詞「も」「こそ」で、そうなっては困るという危ぶむ気持ちを表し、已然形「なれ」で結ぶ係り結びで、先立つ身となるかもしれないからと結ぶ。
さきだつ:先に死ぬ
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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木のもとを住処とすればおのづから 花見る人となりぬべきかな
- 次の歌
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春来ればあぢかた頼み一方に うくてふ魚の名こそ惜しけれ