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身を知らで人を恨むる心こそ
散る花よりもはかなかりけれ

歌の意味
わが身のほどをわきまえずに人を恨む心こそ、散る花よりもはかないものであった。
鑑賞
巻第九 雑歌上 279

 自分の分際をわきまえずに人を恨む心のむなしさを、散る花のはかなさと比べて詠んだ一首である。はかないものの代表である散る花よりも、なおはかないと言うことで、自らの心をかえりみる思いを強く表している。
 花の歌が続くなかに置かれ、花のはかなさを人の心のはかなさへと転じている。

 初句「身を知らで」は、打ち消しの接続助詞「で」で、わが身のほどを知らないでという意を表す。
 二句「人を恨むる」は、相手を恨むことをいう。
 三句「心こそ」は、係助詞「こそ」で恨む心を強く取り立てる。
 四句「散る花よりも」は、はかないものの代表である散る花を比較の基準として示す。
 結句「はかなかりけれ」は、詠嘆の「けり」の已然形で「こそ」を受けて結ぶ係り結びで、いっそうはかないものであったと結ぶ。

みをしる:自分の身のほどをわきまえる
作者
藤原頼宗
出典
詞花和歌集
前の歌
春来ればあぢかた頼み一方に うくてふ魚の名こそ惜しけれ
次の歌
春の来ぬ所はなきを白河の わたりにのみや花は咲くらむ