春の来ぬ所はなきを白河の
わたりにのみや花は咲くらむ
- 歌の意味
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春の来ない所などないのに、白河のあたりにだけ花は咲いているのだろうか。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌上 280
春はどこにでも訪れるのに、花は白河のあたりにしか咲かないのだろうかと問いかけた一首である。都の東の白河は、花の名所として貴族たちが盛んに遊んだ地であり、人々がこぞって白河へ花見に向かうことを踏まえた、少し皮肉まじりの問いかけと見られる。
初句「春の来ぬ」は、打ち消しの「ず」の連体形で、春の来ないという意を表す。
二句「所はなきを」は、逆接の接続助詞「を」で、そういう所はないのにという意を表す。
三句「白河の」は、山城国の地名で、都の東にあって花の名所として知られた。
四句「わたりにのみや」は、副助詞「のみ」で白河のあたりだけと限定し、係助詞「や」で疑問を示す。
結句「花は咲くらむ」は、現在推量の「らむ」の連体形で「や」を受けて結ぶ係り結びで、花はそこにだけ咲いているのだろうかと問いかけて結ぶ。
しらかは:山城国の地名。都の東にあり、花の名所として知られた
わたり:あたり、付近
- 作者
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小式部内侍
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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身を知らで人を恨むる心こそ 散る花よりもはかなかりけれ
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誰かこの数は定めし我はただ とへとぞ思ふ山吹の花