美作や久米の佐良山と思へども
和歌の浦とぞ言ふべかりける
- 歌の意味
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ここは美作の久米の佐良山だと思うけれども、むしろ和歌の浦と言うべきであったのだ。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌上 283
美作国の歌枕である久米の佐良山の地にいながら、そこを和歌の浦と呼ぶべきだと詠む一首である。紀伊国の歌枕である和歌の浦の名に「和歌」を重ね、その場で歌が多く詠まれるさまをたたえたものと見られる。
次歌の第二百八十四首は「和歌の浦と」と詠み出してこの歌に応じており、二首は贈答の形で並べられている。
初句「美作や」は、間投助詞「や」で、美作国の名を詠嘆的に示す。
二句「久米の佐良山と」は、美作国の歌枕である久米の佐良山をいい、八音の字余りである。
三句「思へども」は、逆接の「ども」で、そう思うけれどもという意を表す。
四句「和歌の浦とぞ」は、紀伊国の歌枕である和歌の浦の名に「和歌」を重ね、係助詞「ぞ」で強く取り立てる。次歌の初句もこの語で始まっている。
結句「言ふべかりける」は、当然の「べし」と詠嘆の「けり」の連体形で「ぞ」を受けて結ぶ係り結びで、そう言うべきであったと結ぶ。
くめのさらやま:美作国の山。歌枕
わかのうら:紀伊国の海辺。歌枕で、その名に「和歌」を重ねて詠まれる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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春日山北の藤波咲きしより 栄ゆべしとはかねて知りにき
- 次の歌
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和歌の浦と言ふにて知りぬ風吹かば 波の立ちこと思ふなるべし