- 歌の意味
- 澄みわたって昇っていく月の光に誘われて、雲の上まで行く心であることだ。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌上 293
澄んで昇っていく月の光に誘われ、心が雲の上まで昇っていくと詠む一首である。「雲の上」は宮中を指すこともある語で、宮中に心を寄せる思いを重ねたものとも解される。
本巻の第二百九十七首も、雲の波路に月を見ると詠み、雲の高みに月を仰ぐ歌が続いている。
初句「澄みのぼる」は、月が澄んで空高く昇っていく様子を表す。
二句「月の光に」は、心を誘うものとしての月の光を示す。
三句「誘はれて」は、受身の「る」で、月の光に誘われてという意を表す。
四句「雲の上まで」は、空の高みをいい、宮中を指す「雲の上」の意も響かせる。
結句「行く心かな」は、詠嘆の「かな」で、雲の上まで行く心であることだと結ぶ。
くものうへ:雲の上の空。また宮中
- 出典
- 詞花和歌集
- 前の歌
- 月清み田中に立てる仮庵の 影ばかりこそ曇りなりけれ
- 次の歌
- 板間より月の漏るをも見つるかな 宿は荒らして住むべかりけり