板間より月の漏るをも見つるかな
宿は荒らして住むべかりけり
- 歌の意味
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屋根の板の隙間から月の光が漏れてくるのも見たことだ。家は荒れるにまかせて住むべきであったのだなあ。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌上 294
荒れた屋根の板の隙間から漏れ入る月の光を見て、家は手入れせず荒れるにまかせて住むのがよいのだと詠む一首である。住まいの荒廃を嘆くのではなく、かえって月を楽しむ風流へと転じた、わび住まいの心が表れている。
作者の良暹は、山里の寂しさを詠んだ百人一首の歌でも知られる僧である。
初句「板間より」は、屋根の板の隙間からという意を表す。
二句「月の漏るをも」は、係助詞「も」で、月の光が漏れてくるのもという意を表す。本巻の第三百七首も「月のもる」と詠み、杉の間を漏れる月を描いている。
三句「見つるかな」は、完了の「つ」の連体形と詠嘆の「かな」で、見たことだという三句切れである。
四句「宿は荒らして」は、家は荒れるにまかせてという意を表す。
結句「住むべかりけり」は、当然の「べし」と詠嘆の「けり」で、そう住むべきであったと気づいて結ぶ。
いたま:板と板の隙間
やど:住まい、家
- 作者
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良暹
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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澄みのぼる月の光に誘はれて 雲の上まで行く心かな
- 次の歌
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隈もなく信太の森の下晴れて 千枝の数さへ見ゆる月影