隈もなく信太の森の下晴れて
千枝の数さへ見ゆる月影
- 歌の意味
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陰るところもなく、信太の森の木の下まで晴れわたって、千に分かれた枝の数までも見える月の光よ。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌上 295
和泉国の信太の森を照らす月の光が隅々まで行きわたり、木の下まで明るく、千に分かれた楠の枝の数までも見えると詠む一首である。千枝に分かれることで知られた信太の森の楠を踏まえ、月光の明るさを誇張をもって表している。
本巻の第三百七首も「下晴れて」と詠み、逢坂の関の杉原を照らす月を描いている。
初句「隈もなく」は、陰る所もなくという意で、月光が隅々まで行きわたることを表す。
二句「信太の森の」は、和泉国の歌枕で、千枝に分かれた楠で知られた森をいう。
三句「下晴れて」は、森の木の下まで明るく晴れわたることを表す。
四句「千枝の数さへ」は、副助詞「さへ」で、千に分かれた枝の数までもという意を添える。
結句「見ゆる月影」は、体言止めで、枝の数まで照らし出す月の光を示して結ぶ。本巻の第三百四首も「月影」で結んでいる。
くま:陰になって暗い所
しのだのもり:和泉国の森。千枝に分かれた楠で知られた歌枕
ちえ:多くの枝
- 出典
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詞花和歌集
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板間より月の漏るをも見つるかな 宿は荒らして住むべかりけり
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さびしさに家出しぬべき山里を 今宵の月に思ひとまりぬ