さびしさに家出しぬべき山里を
今宵の月に思ひとまりぬ
- 歌の意味
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あまりの寂しさに出ていってしまいそうな山里であったが、今宵の月の美しさに、出ていくのを思いとどまった。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌上 296
寂しさのあまり今にも出ていってしまいそうな山里の住まいを、今宵の美しい月のおかげで思いとどまったと詠む一首である。山里の寂しさと月の美しさとを秤にかけ、月の力が心を引き留めるさまを素直に表している。
後拾遺和歌集の良暹の歌も「さびしさに」と詠み出し、宿を出て眺める秋の夕暮れを詠んでおり、同じ初句から異なる心の動きを描いている。
初句「さびしさに」は、格助詞「に」で、寂しさのためにという原因を表す。
二句「家出しぬべき」は、強意の「ぬ」と推量の「べし」の連体形で、きっと出ていってしまいそうなという意を表す。
三句「山里を」は、逆接の意を含む「を」で、そのような山里であるのにという意を表す。
四句「今宵の月に」は、格助詞「に」で、今宵の月によってという理由を示す。
結句「思ひとまりぬ」は、完了の「ぬ」で、出ていくのを思いとどまったと結ぶ。
いへで:家を出ること。住まいを捨てて去ること
おもひとまる:しようとしていたことをやめる
- 作者
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源道済
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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隈もなく信太の森の下晴れて 千枝の数さへ見ゆる月影
- 次の歌
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行く人も天の門渡る心地して 雲の波路に月を見るかな