月にこそ昔のことは覚えけれ
我を忘るる人に見せばや
- 歌の意味
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月を見るとこそ昔のことが思い出される。わたしを忘れてしまった人に、この月を見せたいものだ。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌上 305
月を見ると昔のことが思い出されると詠み、わたしを忘れた人にもこの月を見せて、昔を思い出させたいと願う一首である。月を思い出のよすがとし、心変わりした相手への恨みと未練をこめている。
本巻の第三百八首も、月だけが昔のままだと詠み、月に昔をしのぶ歌が響き合っている。
初句「月にこそ」は、係助詞「こそ」で、月によってこそと強く取り立てる。
二句「昔のことは」は、係助詞「は」で、かつてのことを主題として示す。
三句「覚えけれ」は、詠嘆の「けり」の已然形で「こそ」を受けて結ぶ係り結びで、思い出されるという三句切れである。
四句「我を忘るる」は、わたしを忘れてしまった人をいう。
結句「人に見せばや」は、自己の願望の終助詞「ばや」で、その人に月を見せたいと結ぶ。
おぼゆ:思い出される
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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山城の石田の杜のいはずとも 心のうちを照らせ月影
- 次の歌
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長らへば思ひ出にせむ思ひ出でよ 君とみかさの山の端の月