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深くしも頼まざらなむ君ゆゑに
雪踏み分けて夜な夜なぞ行く

歌の意味
それほど深くあてにしないでほしい。それでもあなたのために、雪を踏み分けて毎夜通っていくのだ。
鑑賞
巻第九 雑歌上 318

 深く頼りにしないでほしいと相手に言いながら、その実、相手のために雪を踏み分けて毎夜通っていると詠む一首である。素直になれない言葉と、雪の夜道を通う行動とのずれに、照れ隠しのような男の心がにじんでいる。

 初句「深くしも」は、強意の副助詞「しも」で、それほど深くはという意を表す。
 二句「頼まざらなむ」は、打ち消しの「ず」と他への願望の終助詞「なむ」で、あてにしないでほしいという二句切れである。
 三句「君ゆゑに」は、あなたのためにという意を表す。
 四句「雪踏み分けて」は、積もった雪を踏み分けて進むことをいう。
 結句「夜な夜なぞ行く」は、係助詞「ぞ」と連体形「行く」による係り結びで、毎夜通って行くのだと強く言い切って結ぶ。

よなよな:毎夜
ふみわく:踏んで道を開いて進む
作者
曾禰好忠
出典
詞花和歌集
前の歌
かづきけむ袂は雨にいかがせし 濡るるはさても思ひ知れかし
次の歌
世の人のまだ知らぬ間の薄氷 見わかぬほどに消えねとぞ思ふ