世の人のまだ知らぬ間の薄氷
見わかぬほどに消えねとぞ思ふ
- 歌の意味
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世の人がまだ知らないうちの薄氷のように、人に見分けられないうちに消えてしまえと思う。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌上 319
世間の人にまだ知られていない事柄を薄氷にたとえ、人に見分けられないうちに消えてしまってほしいと詠む一首である。人知れぬ恋をいうものと見られ、うわさにならないうちに、はかない仲の跡を消し去りたいという、人目をはばかる心が表れている。
初句「世の人の」は、世間の人がという意を表す。
二句「まだ知らぬ間の」は、打ち消しの「ず」の連体形で、まだ知らないうちのという意を表す。
三句「薄氷」は、薄く張った氷で、人に知られない、はかない事柄をたとえている。
四句「見わかぬほどに」は、見分けがつかないうちにという意を表す。
結句「消えねとぞ思ふ」は、完了の「ぬ」の命令形「ね」で、消えてしまえと言い、係助詞「ぞ」と連体形「思ふ」による係り結びで結ぶ。
うすごほり:薄く張った氷
みわく:見分ける
- 作者
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赤染衛門
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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深くしも頼まざらなむ君ゆゑに 雪踏み分けて夜な夜なぞ行く
- 次の歌
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秋はみな思ふことなき荻の葉も 末たわむまで露は置くめり