ひたぶるに山田守る身となりぬれば
我のみ人を驚かすかな
- 歌の意味
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ひたすら山田の番をする身となってしまったので、わたしばかりが人を驚かせることだ。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌上 334
山田を守る身となって世から離れた今、人からの訪れも便りもなく、こちらから便りをして人を驚かせるのは自分ばかりだと詠む一首である。山田の番が鳥獣を驚かして追うことに、便りで人の注意を促すことを重ね、人に忘れられた寂しさを表している。
初句「ひたぶるに」は、ひたすらにという意を表す。
二句「山田守る身と」は、山あいの田の番をする身をいい、世を離れた暮らしを示す。
三句「なりぬれば」は、完了の「ぬ」の已然形に「ば」が付いた確定条件で、なってしまったのでという意を表す。
四句「我のみ人を」は、副助詞「のみ」で、わたしばかりがと限定する。
結句「驚かすかな」は、鳥獣を驚かして追う意と、便りをして人の注意を促す意とを重ね、詠嘆の「かな」で結ぶ。
やまだ:山あいの田
もる:番をする、守る
おどろかす:驚かせる。便りをして気づかせる
- 作者
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能因
- 出典
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詞花和歌集
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悪しかれと思はぬ山の峰にだに 生ふなるものを人のなげきは
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三笠山さすがに陰に隠ろへて ふるかひもなきあめの下かな