三笠山さすがに陰に隠ろへて
ふるかひもなきあめの下かな
- 歌の意味
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三笠山の陰に、さすがに身を隠すようにして過ごし、雨が降っても甲斐がないように、生きながらえる甲斐もない天の下であることだ。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌上 335
三笠山の陰に隠れて日の目を見ない身を、笠に覆われて雨の降りかかる甲斐もないさまにたとえ、生きながらえる甲斐もない世を嘆く一首である。「降る」と「経る」、「雨の下」と「天の下」を掛け、三笠山の「笠」と雨とを縁語で結んで、不遇の思いを機知的に表している。
三笠山は近衛府の異称としても用いられた語で、近衛の職にありながら世に出られない身を嘆いたものとも解される。なお原文に作者名の記載はない。
初句「三笠山」は、大和国の歌枕で、山の名の「笠」が三句以下の雨と縁語をなす。本巻の第二百九十一首、第三百六首にも三笠山が詠まれている。
二句「さすがに陰に」は、そうはいってもやはりという意の「さすがに」で、山の陰に身を置く様子を示す。
三句「隠ろへて」は、人目につかないよう隠れてという意を表す。
四句「ふるかひもなき」は、雨が「降る」意と、年月を「経る」意とを掛け、本巻の第三百三十一首と同じ句である。
結句「あめの下かな」は、「雨の下」と「天の下」とを掛け、詠嘆の「かな」で、甲斐もないこの世であることだと結ぶ。
ふる:雨が降る意と、年月を経る意を掛ける
あめのした:「雨の下」と、この世の中をいう「天の下」を掛ける
かくろふ:隠れる、人目につかないようにする
- 出典
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