故郷へ我は帰りぬ武隈の
まつとは誰に告げよとか思ふ
- 歌の意味
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わたしは故郷へ帰ってしまう。武隈の松ではないが、待っているとは、いったい誰に告げよと思うのか。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌上 338
陸奥の歌枕である武隈の松にことよせ、自分は故郷へ帰ってしまうのだから、待っているなどと誰に告げよというのかと詠む一首である。「松」と「待つ」を掛け、去りゆく者には待っていると告げる相手もいないという、別れの寂しさを表している。
初句「故郷へ」は、もとの住みかへという意を表す。
二句「我は帰りぬ」は、完了の「ぬ」で、帰ってしまうという二句切れである。
三句「武隈の」は、陸奥国の歌枕で、二木の松で知られた武隈の松をいう。
四句「まつとは誰に」は、武隈の「松」と、人を「待つ」とを掛けている。
結句「告げよとか思ふ」は、係助詞「か」と連体形「思ふ」による係り結びで、誰に告げよと思うのかと問い返して結ぶ。
たけくま:陸奥国の地名。二木の松で知られた歌枕
まつ:武隈の松と、人を待つ意を掛ける
- 出典
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詞花和歌集
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思ひかね別れし野辺を来て見れば 浅茅が原に秋風ぞ吹く
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枯れ果つる藤の末葉の悲しきは ただ春の日を頼むばかりぞ