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夜の鶴都のうちに放たれて
子を恋ひつつも泣き明かすかな

歌の意味
夜の鶴が子を恋いながら鳴くように、わたしは都のうちに取り残され、遠くへ去った子を恋い慕いながら、泣いて夜を明かすことだ。
鑑賞
巻第九 雑歌上 340

 我が子と引き離された母の悲しみを、夜に子を思って鳴く鶴に託した一首である。作者の儀同三司母(高階貴子)は、子の藤原伊周が長徳の変で配流された折、都に残されて子を思う嘆きをこの歌に詠んだと伝えられる。
 「夜の鶴」は、白居易の詩に夜の鶴が子を思って籠の中で鳴くと詠まれたことを踏まえ、子を思う親の情のたとえとして用いられた。

 初句「夜の鶴」は、夜に子を思って鳴く鶴で、子を思う親のたとえである。白居易の詩句を踏まえている。
 二句「都のうちに」は、都の中でという意で、子と離れて都に残される身を示す。
 三句「放たれて」は、受身の「る」で、子と引き離されて取り残された身を表している。
 四句「子を恋ひつつも」は、反復継続の「つつ」で、子を恋い続けながらという意を表す。
 結句「泣き明かすかな」は、詠嘆の「かな」で、鶴の「鳴く」と人の「泣く」とを重ね、泣いて夜を明かすことだと結ぶ。

よるのつる:夜に子を思って鳴く鶴。子を思う親のたとえ
作者
儀同三司母
出典
詞花和歌集
前の歌
枯れ果つる藤の末葉の悲しきは ただ春の日を頼むばかりぞ
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身の憂さは過ぎぬる方を思ふにも 今行く末のことぞ悲しき