賤の女がゑぐ摘む沢の薄氷
いつまで経べき我が身なるらむ
- 歌の意味
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身分の低い女がえぐを摘む沢に張った薄氷のように、いつまでこの世に生きながらえることのできるわが身なのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十 雑歌下 349
賤の女がえぐを摘む沢に張る薄氷を、いつ消えるともしれないはかないものとして取り上げ、それに自分の身を重ねて、いつまで生きながらえられるのかと嘆く一首である。初句から三句までの早春の景が、そのままはかない命のたとえとなっている。
前歌の第三百四十八首が世を離れる門出を詠んだのに続き、ここでは身のはかなさを詠む。次歌の第三百五十首も同じ「我が身なるらむ」で結び、二首が並べられている。
初句「賤の女が」は、身分の低い女をいう。
二句「ゑぐ摘む沢の」は、沢に生えるえぐを摘むことをいい、早春の景を示す。
三句「薄氷」は、沢に薄く張った氷で、すぐに消えるはかない命のたとえとなっている。初句からここまでが、わが身を導く比喩である。
四句「いつまで経べき」は、可能の「べし」の連体形で、いつまで時を経ることができるのかという意を表す。
結句「我が身なるらむ」は、断定の「なり」と現在推量の「らむ」で、そのようなわが身なのだろうかと結ぶ。次歌も同じ結句である。
しづのめ:身分の低い女
ゑぐ:沢に生える草。くろぐわいとされる
ふ:時が経つ。生きながらえる
- 作者
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源俊頼
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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葦火焚くまやの住処は世の中を あくがれ出づる門出なりけり
- 次の歌
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昔見し雲居を恋ひて葦鶴の 沢辺に鳴くや我が身なるらむ