朝な朝な鹿のしがらむ萩が枝の
末葉の露のありがたの世や
- 歌の意味
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毎朝、鹿が体にからみつけるようにして通る萩の枝の、その葉先の露のように、生きながらえることのむずかしいこの世であることよ。
- 鑑賞
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巻第十 雑歌下 353
毎朝鹿が萩の枝に体をからませて通るので、葉先の露はすぐにこぼれ落ちてしまう。そのような露のはかなさに、生きながらえることのむずかしい世を重ねた一首である。初句から四句までがすべて、結句の「ありがたの世」を導く比喩となっている。
本巻の第三百五十五首も尾花の末の白露にわが身を重ねており、草葉の末に置く露をはかない命とする歌が続いている。
初句「朝な朝な」は、毎朝という意を表す。
二句「鹿のしがらむ」は、鹿が萩の枝を体にからませることをいい、三句の萩にかかる。
三句「萩が枝の」は、萩の枝をいう。
四句「末葉の露の」は、枝先の葉に置く露をいい、すぐにこぼれ落ちるはかないものとして示す。本巻の第三百五十五首も「尾花が末の白露」と詠んでいる。
結句「ありがたの世や」は、形容詞「ありがたし」の語幹に「の」が付いた形で、生きながらえがたい世であることよと、間投助詞「や」で詠嘆して結ぶ。
しがらむ:からみつける
すゑば:枝先の葉
はぎ:秋に花を咲かせる低木。鹿とともに詠まれた
- 作者
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増基
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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散る花にまたもや逢はむおぼつかな その春までと知らぬ身なれば
- 次の歌
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花薄招かばここにとまりなむ いづれの野辺もつひの住処ぞ