かはらむと祈る命は惜しからで
さても別れむことぞ悲しき
- 歌の意味
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子の身代わりになろうと祈るわたしの命は惜しくはないけれども、そうして子と別れてしまうことが悲しい。
- 鑑賞
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巻第十 雑歌下 362
子の大江挙周が重い病にかかったとき、作者が住吉の神に、子の身代わりに自分の命を差し出したいと祈って詠んだ歌と伝えられる。命は惜しくないが、子と別れることだけが悲しいという、母の切実な情がこめられている。
この話は今昔物語集などにも見え、歌の心が神に通じて挙周の病が癒えたと語られている。次歌の第三百六十三首も「ことぞ悲しき」で結び、別れの悲しみを詠む歌が並べられている。
初句「かはらむと」は、意志の「む」で、身代わりになろうとという意を表す。
二句「祈る命は」は、係助詞「は」で、身代わりを祈る自分の命を取り立てる。
三句「惜しからで」は、打ち消しの接続助詞「で」で、惜しくはなくてという意を表す。
四句「さても別れむ」は、そうして別れることになるだろうという意を表す。
結句「ことぞ悲しき」は、係助詞「ぞ」と連体形「悲しき」による係り結びで、別れることが悲しいと結ぶ。次歌も同じ結句である。
かはる:身代わりになる
- 作者
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赤染衛門
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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おぼつかなまだ見ぬ道を死出の山 雪踏み分けて越えむとすらむ
- 次の歌
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この世にはまたも逢ふまじ梅の花 散り散りならむことぞ悲しき