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我が思ふことの繁さにくらぶれば
信太の森の千枝は数かは

歌の意味
わたしの思い悩むことの多さに比べれば、信太の森の楠の千に分かれた枝など、物の数に入るだろうか、いや入りはしない。
鑑賞
巻第十 雑歌下 365

 自分の心の思いの多さに比べれば、千枝に分かれることで知られる信太の森の楠も数のうちに入らないと詠む一首である。名高い信太の森の千枝を引き合いに出し、尽きることのない物思いの多さを誇張して表している。
 巻第九の第二百九十五首も信太の森の千枝を詠み、そこでは月光に照らされて枝の数まで見えると詠んでいた。

 初句「我が思ふ」は、自分が思い悩むという意を表す。
 二句「ことの繁さに」は、思いの多さをいい、「繁さ」が森の木の茂りと縁をなす。
 三句「くらぶれば」は、已然形に「ば」が付いた確定条件で、比べるとという意を表す。
 四句「信太の森の」は、和泉国の歌枕で、千枝に分かれた楠で知られた森をいう。
 結句「千枝は数かは」は、係助詞「かは」による反語で、千枝など物の数に入らないと結ぶ。

しのだのもり:和泉国の森。千枝に分かれた楠で知られた歌枕
ちえ:多くの枝
しげさ:多いこと
作者
増基
出典
詞花和歌集
前の歌
この身をば空しきものと知りぬれば 罪得むこともあらじとぞ思ふ
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網代には沈む水屑もなかりけり 宇治のわたりに我や住ままし