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涙川その水上を尋ぬれば
世の憂き目より出づるなりけり

歌の意味
涙の川の、その水源をたずねてみると、世の中のつらい目から流れ出ているのであった。
鑑賞
巻第十 雑歌下 368

 流れる涙を川に見立て、その水源をたどると、世のつらい経験から湧き出ていたと詠む一首である。涙を川の流れにたとえる発想を推し進め、その源を世の憂さに求めたところに趣向がある。
 次歌の第三百六十九首も心を水にたとえており、涙と心を水の流れになぞらえる歌が並べられている。

 初句「涙川」は、流れる涙を川に見立てた語である。
 二句「その水上を」は、川の上流、水源をいう。
 三句「尋ぬれば」は、已然形に「ば」が付いた確定条件で、たずねるとという意を表す。
 四句「世の憂き目より」は、世の中のつらい目からという意で、「目」は涙の出るところとしても響いている。
 結句「出づるなりけり」は、断定の「なり」と詠嘆の「けり」で、流れ出ていたのであったと結ぶ。

なみだがは:流れる涙を川に見立てた語
みなかみ:川の上流。水源
うきめ:つらい目、つらい経験
出典
詞花和歌集
前の歌
大原やまだ炭竈も習はねば 我が宿のみぞ煙絶えたる
次の歌
思ひやれ心の水の浅ければ かきながすべき言の葉もなし