百年の花に宿りて過ぐしてき
この世は蝶の夢にざりける
- 歌の意味
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百年もの間、花に宿って過ごしてきた。思えばこの世は、蝶の見る夢であったのだ。
- 鑑賞
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巻第十 雑歌下 378
長い生涯を花に宿る蝶のように過ごしてきたが、振り返ればこの世は蝶の見る夢のようなものであったと詠む一首である。荘子が夢に蝶となり、目覚めて自分が蝶の夢を見たのか、蝶が自分の夢を見ているのか分からなくなったという胡蝶の夢の故事を踏まえ、人生のはかなさを表している。
本巻の第四百十一首も「百年」の人生を詠み、その半ばを過ぎて身のはかなさを思い知ると述べている。
初句「百年の」は、百年という長い年月をいい、人の一生を示す。
二句「花に宿りて」は、蝶が花にとまることをいい、華やかな世に身を置いたことを重ねている。
三句「過ぐしてき」は、完了の「つ」と過去の「き」で、過ごしてきたという三句切れである。
四句「この世は蝶の」は、荘子の胡蝶の夢の故事を踏まえる。
結句「夢にざりける」は、「にぞありける」のつづまった形で、係助詞「ぞ」と詠嘆の「けり」の連体形による係り結びで、夢であったのだと結ぶ。
ももとせ:百年
てふ:蝶
- 作者
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大江匡房
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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白河の流れを頼む心をば 誰かは空に汲みて知るべき
- 次の歌
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久方の天の香具山出づる日も 我が方にこそ光さすらめ