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都にて眺めし月を見る時は
旅の空とも覚えざりけり

歌の意味
都で眺めたのと同じ月を見ているときは、旅の空にいるとも思われないことだ。
鑑賞
巻第十 雑歌下 388

 都で眺めたのと同じ月を旅先で見ていると、旅の空にいるとも思われないと詠む一首である。前歌の第三百八十七首と同じ上の句から詠み出し、月がともに旅に出たというのに対し、こちらは同じ月が旅の寂しさを忘れさせると、異なる心の動きを描いている。

 初句「都にて」は、前歌と同じ初句である。
 二句「眺めし月を」は、過去の「き」の連体形で、都で眺めた月をいう。
 三句「見る時は」は、係助詞「は」で、見ているときをという意を表す。次歌の第三百八十九首も同じ三句をもつ。
 四句「旅の空とも」は、旅先の空であるともという意を表す。
 結句「覚えざりけり」は、打ち消しの「ず」と詠嘆の「けり」で、思われないことだと結ぶ。

おぼゆ:思われる、感じられる
出典
詞花和歌集
前の歌
都にて眺めし月のもろともに 旅の空にも出でにけるかな
次の歌
風越の峰の上にて見る時は 雲は麓のものにぞありける