夢ならでまたも逢ふべき君ならば
寝られぬいをも嘆かざらまし
- 歌の意味
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夢ではなく、またこの世で逢うことのできるあなたであるならば、眠れないことも嘆きはしないだろうに。
- 鑑賞
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巻第十 雑歌下 394
亡くなった人には夢でしか逢えないのに、眠れなければその夢さえ見られない。もし夢でなくまた逢える人であったなら、眠れないことを嘆きはしないだろうにと詠む一首である。亡き人を夢にだけでも見たいという切実な哀傷の思いを、反実仮想によって表している。
初句「夢ならで」は、打ち消しの接続助詞「で」で、夢ではなくという意を表す。
二句「またも逢ふべき」は、可能の「べし」の連体形で、また逢うことのできるという意を表す。
三句「君ならば」は、断定の「なり」の未然形に「ば」が付いた仮定で、そういうあなたであるならばという意を表す。
四句「寝られぬいをも」は、眠りをいう「い」で、眠れない夜の眠りをもという意を表す。
結句「嘆かざらまし」は、打ち消しの「ず」と反実仮想の「まし」で、嘆きはしないだろうにと結ぶ。
い:眠り
- 出典
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そのことと思はぬだにもあるものを 何心地して月を見るらむ
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思ひかね眺めしかども鳥辺山 果ては煙も見えずなりにき