生ひ立たで枯れぬと聞きしこのもとの
いかでなげきの森となるらむ
- 歌の意味
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育ちきらないうちに枯れてしまったと聞いた木の下が、どうして嘆きの森となるのだろうか。幼くして亡くなった子のために、どうしてこれほど嘆きが深くなるのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十 雑歌下 398
育ちきらないうちに枯れた若木に、幼くして亡くなった子を重ね、その子のもとがどうして嘆きの森となるほどなのかと詠む一首と解される。「木」に「子」を、「投げ木」に「嘆き」を掛け、大隅国の歌枕である嘆きの森を用いて、遺された人の悲しみの深さを表している。
本巻の第三百八十首の「このもと」と同じ語を用い、そこでは子が母をしのんだのに対し、ここでは亡くなった子を嘆いている。巻第九の第三百三十三首も、「投げ木」と「嘆き」を掛けて人の嘆きを詠んでいる。
初句「生ひ立たで」は、打ち消しの接続助詞「で」で、育ちきらないうちにという意を表す。
二句「枯れぬと聞きし」は、完了の「ぬ」と過去の「き」の連体形で、枯れてしまったと聞いたという意を表す。
三句「このもとの」は、「木の下」と「子の」とを掛けている。
四句「いかでなげきの」は、副詞「いかで」で問い、「投げ木」と「嘆き」とを掛けている。
結句「森となるらむ」は、大隅国の歌枕「嘆きの森」を踏まえ、現在推量の「らむ」で、どうして森となるのだろうかと結ぶ。
おひたつ:成長する
このもと:「木の下」の意と、「子の」の意を掛ける
なげき:薪にする木の「投げ木」と、「嘆き」を掛ける
なげきのもり:大隅国の森。歌枕
- 作者
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清原元輔
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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人知れずもの思ふこともありしかど このことばかり悲しきはなし
- 次の歌
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今日よりは天の河霧立ち別れ いかなる空に逢はむとすらむ