- 歌の意味
- なんと情けないことか。本来ならあなたに着せるはずの墨染の喪服の袖を、わたしが着て涙で濡らしていることだ。
- 鑑賞
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巻第十 雑歌下 401
本来ならば先に死ぬはずの自分のために、相手が着るべきであった墨染の喪服を、逆に自分が相手のために着て涙で袖を濡らしていると嘆く一首である。年若い者に先立たれた、順序の逆になった死を嘆く悲しみと見られる。
初句「あさましや」は、形容詞「あさまし」に間投助詞「や」が付いた形で、意外な事態を嘆く初句切れである。
二句「君に着すべき」は、着せる意の「着す」と当然の「べし」の連体形で、あなたに着せるはずのという意を表す。
三句「墨染の」は、喪服の黒い色をいう。
四句「衣の袖を」は、喪服の袖をいう。
結句「我が濡らすかな」は、詠嘆の「かな」で、わたしが涙で濡らしていることだと結ぶ。
すみぞめ:黒く染めた色。喪服や僧衣の色
きす:着せる
- 作者
- 源顕仲
- 出典
- 詞花和歌集
- 前の歌
- 七夕は後の今日をも頼むらむ 心細きは我が身なりけり
- 次の歌
- 去年の春散りにし花も咲きにけり あはれ別れのかからましかば