去年の春散りにし花も咲きにけり
あはれ別れのかからましかば
- 歌の意味
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去年の春に散ってしまった花も、今年また咲いたことだ。ああ、人との別れもこのように、また巡り逢えるものであったならば。
- 鑑賞
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巻第十 雑歌下 402
去年の春に散った花も今年またもとのように咲いたのを見て、人との死別もこのように再び逢えるものであったならと嘆く一首である。毎年咲き返る花と、二度と戻らない人とを対比させ、亡き人への思いを深く表している。
巻第九の第三百二十五首と同じく「ましかば」で言いさして結び、かなわぬ願いの余情を残している。
初句「去年の春」は、昨年の春をいう。
二句「散りにし花も」は、完了の「ぬ」と過去の「き」の連体形で、散ってしまった花もという意を表す。
三句「咲きにけり」は、完了の「ぬ」と詠嘆の「けり」で、また咲いたことだという三句切れである。
四句「あはれ別れの」は、感動詞「あはれ」で嘆き、人との別れをいう。
結句「かからましかば」は、「かくあり」のつづまった「かかり」に反実仮想の「ましか」と「ば」が付いた仮定で、このようであったならばと言いさして結ぶ。
こぞ:去年
- 作者
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赤染衛門
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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あさましや君に着すべき墨染の 衣の袖を我が濡らすかな
- 次の歌
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出づる息の入るを待つ間もかたき世を 思ひ知るらむ袖はいかにぞ