- 歌の意味
-
山里に住まいを構えるべきだ。鶯の鳴く初音が聞きたいので。
- 鑑賞
-
春歌 3
詞書は前の歌に続き「春のはじめの歌」
春の初め、鶯の初音を聞きたいばかりに山里に住みたいと願う心を詠む。鶯の初音は春の訪れを告げる何よりの楽しみであり、その思いの強さを「家居はすべし」と言い切る形で表す。倒置によって願いの理由を後に置き、素直な憧れが伝わる一首である。
初句「山里に」は、都よりも早く鶯の鳴く場所としての山里を示す。
二句「家居はすべし」の「家居」は住まいを構えること、「べし」は当然や意志を表し、ここで句切れとなる。
三句「鶯の」は、春を告げる鳥として春部に繰り返し現れる鶯を導く。次歌の第四首も鶯の声で結ばれ、鶯の歌が続けて配列されている。
四句「鳴く初声の」の「初声」はその年初めての鳴き声、すなわち初音である。
結句「聞かまほしさに」は希望の助動詞「まほし」の語幹に「さ」を付けた名詞形に「に」が付いたもので、聞きたさのためにと理由を示す。上の句との倒置になっている。
いへゐ:住まいを構えること、住居
はつこゑ:その年初めて鳴く声、初音
- 作者
-
源実朝
- 出典
-
金槐和歌集
- 前の歌
-
九重の雲居に春ぞ立ちぬらし 大内山に霞たなびく
- 次の歌
-
うちなびき春さり来れば久木生ふる 片山かげに鶯ぞ鳴く