うちなびき春さり来れば久木生ふる
片山かげに鶯ぞ鳴く
- 歌の意味
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草木がなびく春がやって来ると、久木の生えている片山の陰で鶯が鳴いている。
- 鑑賞
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春歌 4
詞書は前の歌に続き「春のはじめの歌」
春の訪れとともに、久木の茂る山陰で鶯が鳴き出した情景を詠む。「春さり来れば」「久木生ふる」など『万葉集』の語を多く取り入れた、作者らしい万葉調の一首である。賀茂真淵は初句について、万葉集では「うちなびく春」とあり「うちなびき」とは別の語であると指摘し、自著『冠辞考』に詳しいと述べている。
類従本ではこの歌に「春のはじめの歌」の題がある。なお底本の結句は一字が読み取りにくく、通行の本文により「鶯ぞ鳴く」とした。
初句「うちなびき」は草木が一面になびく意で、万葉集で春にかかる枕詞「うちなびく」を用いたものである。
二句「春さり来れば」の「さる」は時節が移って来る意で、春がやって来るとの意となる。万葉集に多い言い回しである。
三句「久木生ふる」の「久木」はアカメガシワあるいはキササゲとされる木で、万葉集にも詠まれる。
四句「片山かげに」の「片山」は一方が傾斜した山、あるいは人里から離れた山の意で、その陰を示す。
結句「鶯ぞ鳴く」は係助詞「ぞ」と連体形「鳴く」による係り結びで、鶯の声を強く印象づける。前歌の第三首が鶯の初声を聞きたいと願ったのに対し、ここでは実際に鳴く声が響いている。
ひさぎ:アカメガシワまたはキササゲとされる木
かたやま:一方が切り立った山、また人里離れた山
さる:季節や時が移ってやって来る
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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山里に家居はすべし鶯の 鳴く初声の聞かまほしさに
- 次の歌
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かきくらしなほ降る雪の寒ければ 春とも知らぬ谷の鶯