かきくらしなほ降る雪の寒ければ
春とも知らぬ谷の鶯
- 歌の意味
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空を暗くしてなお降り続く雪が寒いので、春になったことも知らずにいる谷の鶯よ。
- 鑑賞
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春歌 5
詞書「春のはじめ」
暦の上では春になったのに雪が降り続き、谷の鶯はまだ春に気づかずにいる、という早春の情景を詠む。鶯の身に寄り添って季節のずれを捉えた趣向で、春を待つ心がにじむ。賀茂真淵は合点を付している。
類従本では詞書を「春のはじめに雪の降をよめる」とする。鶯が鳴かなければ春とは思えないとする発想は、『古今和歌集』の壬生忠岑の「春来ぬと人は言へども鶯の鳴かぬかぎりはあらじとぞ思ふ」に通じるものである。
初句「かきくらし」は空一面を暗くする意で、雪雲に覆われた空を示す。
二句「なほ降る雪の」の「なほ」は、春になったにもかかわらず依然としての意である。
三句「寒ければ」は形容詞の已然形に「ば」が付いた確定条件で、雪の寒さを理由とする。
四句「春とも知らぬ」は、春になったことさえ知らないの意で、鶯を人になぞらえている。前歌の第四首で鳴いていた鶯と対照的に、ここではまだ春を知らない鶯が描かれる。
結句「谷の鶯」は体言止めで、谷にこもる鶯に余情を託す。
かきくらす:空一面を暗くする
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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うちなびき春さり来れば久木生ふる 片山かげに鶯ぞ鳴く
- 次の歌
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春はまづ若菜摘まむと標めおきし 野辺とも見えず雪の降れれば