春はまづ若菜摘まむと標めおきし
野辺とも見えず雪の降れれば
- 歌の意味
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春になったらまず若菜を摘もうと、しるしを付けておいた野辺だとも見分けられない。雪が降り積もっているので。
- 鑑賞
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春歌 6
詞書は前の歌に続き「春のはじめ」
春が来たらまず若菜を摘もうと目印を付けておいた野が、雪に覆われて見分けもつかないことを詠む。若菜摘みを楽しみにしていた心と、なお冬の名残をとどめる雪との対比に早春の趣がある。賀茂真淵は合点を付している。
この歌は『新千載和歌集』に入集し、同集では結句を「雪は降りつつ」とする。また類従本と定家所伝本では初句を「春たたば」とする。なお底本の三句は一字が読み取りにくく、通行の本文により「標めおきし」とした。
初句「春はまづ」の「まづ」は、春になったら何よりも先にの意である。
二句「若菜摘まむと」の「む」は意志を表し、若菜摘みを心待ちにする気持ちを示す。若菜は本巻の第十七首、第十八首でも詠まれる春の景物である。
三句「標めおきし」の「標む」はしるしを付けて自分の場所と定めることで、「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。
四句「野辺とも見えず」は、目印を付けた野辺だとも見分けられないの意で、ここで句切れとなる。
結句「雪の降れれば」は「降れ」に存続の助動詞「り」の已然形「れ」と「ば」が付いたもので、雪が降り積もっているのでと理由を示し、倒置となっている。前歌の第五首に続き、春になっても降る雪を詠む。
しむ:しるしを付けて自分の領分と定める
わかな:春の初めに摘む食用の若草
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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かきくらしなほ降る雪の寒ければ 春とも知らぬ谷の鶯
- 次の歌
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朝霞立てるを見ればみづのえの 吉野の宮に春は来にけり