朝霞立てるを見ればみづのえの
吉野の宮に春は来にけり
- 歌の意味
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朝霞が立っているのを見ると、みづのえの吉野の宮にも春はやって来たのだなあ。
- 鑑賞
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春歌 7
詞書「故郷立春」
「故郷立春」の題で、かつて離宮のあった古い土地吉野に春が来たことを詠む。今は昔の栄えをとどめない地にも変わらず春が訪れ、朝霞の立つさまに、歴史の移り変わりと季節の確かさが重ねられている。賀茂真淵は二重の合点を付して高く評価し、「みづのえの吉野の宮」という続け方は後世の歌では意味のないものだが、作者の歌風からすれば古事記以来の古い用例によったのであろうと述べている。
この歌は『続後撰和歌集』に入集している。
初句「朝霞」は朝に立つ霞で、春の訪れを示す景物である。
二句「立てるを見れば」の「る」は存続の助動詞「り」の連体形で、霞が立っている状態を見ていることを表す。霞が「立つ」には春が「立つ」意も響いている。
三句「みづのえの」は「吉野の宮」に冠する古い言い方で、真淵の評もこの続け方に触れている。
四句「吉野の宮に」の「吉野の宮」は大和国吉野にあった離宮で、題の「故郷」はこの古い宮のある地を指す。
結句「春は来にけり」は本巻の第一首と同じ結句で、巻頭の元日の歌と古い離宮の地の立春の歌が同じ言葉で結ばれている。
よしののみや:大和国吉野にあった離宮
ふるさと:かつて都や離宮のあった古い土地
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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春はまづ若菜摘まむと標めおきし 野辺とも見えず雪の降れれば
- 次の歌
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塩釜の浦の松風霞むなり 八十島かけて春や立つらむ