いかにして野中の松の古りぬらむ
昔の人の引かずやありけむ
- 歌の意味
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どうして野中の松はこんなに古びてしまったのだろう。昔の人は子の日に引かなかったのだろうか。
- 鑑賞
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春歌 9
詞書「子日」
子の日の行事を題に、野中に古木となって立つ松を見て、昔の人が子の日に小松を引かずに残したからだろうかと思いめぐらした歌である。正月最初の子の日に小松を引いて長寿を願う習俗を踏まえ、引かれずに生き延びた松の長い歳月を思わせる、機知のある一首である。
類従本では雑部に収める。なお底本の三句と四句は一部の文字が読み取りにくく、通行の本文により「古りぬらむ」「昔の人の」とした。
初句「いかにして」は、どのようにして、なぜの意で、三句の「らむ」と呼応して原因を推し量る。
二句「野中の松の」は、野の中にぽつんと立つ松を示す。
三句「古りぬらむ」の「らむ」は原因推量で、どうして古びてしまったのだろうと問いかける。ここで句切れとなる。
四句「昔の人の」は、かつて子の日の遊びをした昔の人々を指す。
結句「引かずやありけむ」の「や」は疑問の係助詞で、過去推量「けむ」の連体形で結ぶ係り結びである。子の日に小松を引く習俗を踏まえ、引かれずに残ったために老松となったのかと推量する。
ねのひ:正月最初の子の日。野に出て小松を引き、若菜を摘んで長寿を願った
ひく:子の日に小松を根ごと引き抜く
ふる:年を経て古びる
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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塩釜の浦の松風霞むなり 八十島かけて春や立つらむ
- 次の歌
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おほかたに春の来ぬれば春霞 四方の山辺に立ち満ちにけり