おほかたに春の来ぬれば春霞
四方の山辺に立ち満ちにけり
- 歌の意味
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あまねく春が来たので、春霞が四方の山辺に一面に立ちこめたことだ。
- 鑑賞
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春歌 10
詞書「霞」
春がすべてに等しく訪れたことを、四方の山辺に満ちる春霞によって確かめた歌である。一か所ではなく見渡す限りの山に霞が立つ広々とした景が詠まれ、春の到来の普遍性をおおらかに表している。
類従本では詞書を「霞をよめる」とする。
初句「おほかたに」は、一般に、すべてにわたっての意で、春がどこにも等しく来たことを示す。
二句「春の来ぬれば」は完了の「ぬ」の已然形に「ば」が付いた確定条件で、春が来たので、の意である。
三句「春霞」は春に立つ霞で、本巻の第一首から続く霞の景を受け継ぐ。
四句「四方の山辺に」の「四方」は東西南北すべての方角を指し、広い眺望を示す。
結句「立ち満ちにけり」の「けり」は詠嘆で、霞が一面に満ちた景への感動を表す。次歌の第十一首、さらに第十二首とともに霞の三首をなし、本歌の「四方の山辺」から葛城山、筑波嶺へと、全体の景から特定の山へ焦点を移していく配列である。
よも:東西南北の四方、周囲すべて
やまべ:山のほとり、山のあたり
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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いかにして野中の松の古りぬらむ 昔の人の引かずやありけむ
- 次の歌
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み冬つき春し来ぬれば青柳の 葛城山に霞たなびく