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み冬つき春し来ぬれば青柳の
葛城山に霞たなびく

歌の意味
冬が尽きて春が来たので、葛城山に霞がたなびいている。
鑑賞
春歌 11

詞書は前の歌に続き「霞」
 冬が終わり春が来たことを、葛城山にたなびく霞によって示した歌である。「み冬つき」「春し来ぬれば」と万葉風の言葉を重ねて、季節の移り変わりを堂々と詠む。賀茂真淵は合点を付し、「青柳の」はただの枕詞であるのに春の歌に続けたのは後世の風に倣ったものかとしつつ、そうでなければ良い歌だと評している。
 この歌は『新勅撰和歌集』に入集している。また『万葉集』巻十七には「み冬継ぎ春は来たれど」と始まる歌があり、初句の言い回しはその流れをくむものである。

 初句「み冬つき」の「み」は美称の接頭語で、冬が尽きての意である。
 二句「春し来ぬれば」の「し」は強意の副助詞で、春が来たことを強めて言う。
 三句「青柳の」は、青柳の枝を鬘にすることから「葛城」にかかる枕詞である。真淵はこの枕詞を春の景と重ねた点を後世風とみている。
 四句「葛城山に」の「葛城山」は大和と河内の境にある山で、本巻の第五十二首でも桜の名所として詠まれる。
 結句「霞たなびく」は本巻の第二首と同じ結句で、霞による春の到来の確認を繰り返す。前歌の第十首が四方の山を詠んだのに対し、ここでは一つの山に焦点を絞っている。

かつらぎやま:大和と河内の境にある山
かづら:つる草や枝を輪にした髪飾り
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
おほかたに春の来ぬれば春霞 四方の山辺に立ち満ちにけり
次の歌
おしなべて春は来にけり筑波嶺の 木のもとごとに霞たなびく