おしなべて春は来にけり筑波嶺の
木のもとごとに霞たなびく
- 歌の意味
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どこもかしこも一様に春はやって来たのだなあ。筑波嶺の木々の下ごとに霞がたなびいている。
- 鑑賞
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春歌 12
詞書は前の歌に続き「霞」
筑波山の木々の下ごとに霞がたなびくさまに、春がすみずみまで行き渡ったことを見て取った歌である。山全体ではなく一本一本の木のもとにまで霞が及ぶと捉えることで、春の到来の細やかさとあまねさを同時に表している。
底本の三句、四句は一部の文字が読み取りにくく、通行の本文により「筑波嶺の木のもとごとに」とした。
初句「おしなべて」は、すべて一様にの意で、本巻の第十首の「おほかたに」と同じく春の到来があまねいことを示す。
二句「春は来にけり」は「けり」による詠嘆で、ここで句切れとなる。本巻の第一首、第七首の結句と同じ句を二句に置き、春の到来をまず言い切っている。
三句「筑波嶺の」は常陸国の筑波山のことで、東国を代表する歌枕である。
四句「木のもとごとに」は、木の一本一本の下ごとにの意で、霞が細部にまで及ぶさまを示す。
結句「霞たなびく」は本巻の第二首、第十一首と同じ結句で、霞の三首をこの句で結んでいる。
つくばね:常陸国の筑波山
おしなぶ:すべてを一様にする
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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み冬つき春し来ぬれば青柳の 葛城山に霞たなびく
- 次の歌
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ふか草の谷の鶯春ごとに あはれ昔と音をのみぞなく