- 歌の意味
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深草の谷の鶯は、春が来るたびに、ああ昔が恋しいと声をあげて鳴いてばかりいる。
- 鑑賞
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春歌 13
詞書「鶯」
深草の谷の鶯の声を、昔を偲んで泣く声と聞きなした懐旧の歌である。鶯の鳴き声に人の嘆きを重ね、過ぎ去った時への思いを春ごとに新たにするさまを詠む。賀茂真淵は、次歌と合わせたこの二首について、昔を思うわけがあって詠んだのであろうと評している。
類従本では次歌とともに雑部に収める。また底本の結句は一字が読み取りにくく、通行の本文により「音をのみぞ」とした。
初句「ふか草の」は山城国の地名深草に、草が深く茂る意を掛ける。次歌の第十四首が「草ふかき」と語順を反転させて詠み出しており、二首が対をなしている。
二句「谷の鶯」は本巻の第五首の結句と同じ語で、谷にこもる鶯を示す。
三句「春ごとに」は、春が来るたびにの意で、懐旧の思いが毎年繰り返されることを表す。
四句「あはれ昔と」は、鶯の声を「ああ昔よ」という嘆きの言葉に聞きなしたものである。
結句「音をのみぞなく」は係助詞「ぞ」と連体形による係り結びで、「音をなく」は声をあげてなくことである。鶯が「鳴く」に人が「泣く」意を重ねている。
ふかくさ:山城国の地名深草と、草が深く茂る意を掛ける
ね:声、鳴き声
なく:鶯が鳴く意と、人が声をあげて泣く意を掛ける
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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おしなべて春は来にけり筑波嶺の 木のもとごとに霞たなびく
- 次の歌
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草深き霞の谷にはぐくまる 鶯のみや昔恋ふらむ