- 歌の意味
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草深い霞の谷で育まれた鶯だけが、昔を恋しく思っているのだろうか。
- 鑑賞
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春歌 14
詞書は前の歌に続き「鶯」
草深い霞の谷で育った鶯だけが昔を恋しがっているのだろうかと問いかけ、実は自分も同じ思いを抱いていることをにじませる歌である。前歌に続く懐旧の一首で、賀茂真淵はこの二首を昔を思うわけがあって詠んだものと評している。
類従本では雑部に収め、三句を「春ごもる」とする。定家所伝本にも三句に異同がある。また底本の結句は一字が読み取りにくく、通行の本文により「昔恋ふらむ」とした。
初句「草深き」は、前歌の第十三首の「ふか草」を語順を反転させて受けたもので、二首の対応を示す。
二句「霞の谷に」は、春部前半の景物である霞と鶯の谷とを合わせた表現である。
三句「はぐくまる」は、育てられる、大切に養われるの意である。
四句「鶯のみや」の「のみ」は限定、「や」は疑問の係助詞で、鶯だけだろうか、いや自分も、という含みをもつ。
結句「昔恋ふらむ」は「や」の結びとして推量の「らむ」が連体形で結ぶ係り結びである。前歌の「あはれ昔と」を受け、懐旧の思いを問いの形で深めている。
はぐくまる:育てられる、大切に養われる
こふ:心ひかれて慕う
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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ふか草の谷の鶯春ごとに あはれ昔と音をのみぞなく
- 次の歌
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春来ればまづ咲く宿の梅の花 香をなつかしみ鶯ぞ鳴く