古典和歌stream

春来ればまづ咲く宿の梅の花
香をなつかしみ鶯ぞ鳴く

歌の意味
春が来るとまっ先に咲く我が家の梅の花の香りに心ひかれて、鶯が鳴いている。
鑑賞
春歌 15

詞書「花間鶯」
 春が来るとまず咲く我が家の梅の花と、その香りに心ひかれて鳴く鶯とを取り合わせた歌である。梅に鶯という春の代表的な組み合わせを素直に詠み、早春ののどかな情景を描く。賀茂真淵は合点を付している。
 類従本では詞書を「花の間の鶯といふ事を」とする。また底本の四句は一字が読み取りにくく、通行の本文により「香をなつかしみ」とした。

 初句「春来れば」は、春が来るといつもの意を表す恒常条件である。
 二句「まづ咲く宿の」は、春の花の先がけとして咲くことを示す。
 三句「梅の花」は、以下に続く梅の歌の導入となる景物である。
 四句「香をなつかしみ」は「名詞+を+形容詞の語幹+み」の形で、香りに心ひかれるのでと理由を表す。
 結句「鶯ぞ鳴く」は係助詞「ぞ」と連体形による係り結びで、本巻の第四首と同じ結句である。次歌の第十六首も同じ結句をもち、梅と鶯の歌が続いている。

やど:家、住まい
か:香り、におい
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
草深き霞の谷にはぐくまる 鶯のみや昔恋ふらむ
次の歌
春雨の露もまだ干ず梅が枝に 上毛しをれて鶯ぞ鳴く