春日野の飛ぶ火の野守今日とてや
昔かたみに若菜摘むらむ
- 歌の意味
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春日野の飛火野の野守は、今日がその日だというので、昔をしのぶよすがとして若菜を摘んでいるのだろうか。
- 鑑賞
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春歌 18
詞書「屏風の絵に若菜摘む所」
屏風に描かれた若菜摘みの絵に寄せ、春日野の野守が今日こそと昔の名残に若菜を摘んでいるのだろうかと思いやった歌である。絵の中の人物に古歌の世界を重ね、時を越えた若菜摘みの情景を描き出す。賀茂真淵は「昔かたみ」の句がよくないと評している。
この歌は『古今和歌集』のよみ人しらずの歌「春日野の飛火の野守出でて見よ今いくかありて若菜摘みてむ」を本歌とする。類従本では詞書を「若菜つむ處」とする。
初句「春日野の」は大和国春日山のふもとの野で、若菜摘みの名所である。
二句「飛ぶ火の野守」の「飛ぶ火」はのろしのことで、春日野の飛火野に置かれたのろし台を守る番人を指す。本歌の語をそのまま用いている。
三句「今日とてや」は、今日がその日だというのでの意で、「や」は疑問の係助詞である。
四句「昔かたみに」は、昔をしのぶよすがとしての意で、本歌の時代の若菜摘みを思わせる。
結句「若菜摘むらむ」は「や」の結びとして「らむ」の連体形で結ぶ。前歌の第十七首に続く若菜の歌で、実景から屏風絵へと場面を移している。
とぶひ:のろし。春日野の飛火野はのろし台が置かれた所
のもり:野の番人
かたみ:過ぎ去ったものを思い出すよすが
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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若菜摘む衣手濡れて片岡の あしたの原に淡雪ぞ降る
- 次の歌
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松の葉の白きを見れば春日山 木の芽もはるの雪ぞ降りける