春来ては花とか見えむおのづから
くちきの杣に降れる白雪
- 歌の意味
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春が来てからは花と見えるだろうか。たまたま朽木の杣山に降り積もった白雪は。
- 鑑賞
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春歌 20
詞書「残雪」
春になってなお朽木の杣山に残る白雪を、花と見なされるだろうかと詠む。花の咲くはずのない朽ちた木に積もる雪を花に見立てた機知の歌である。賀茂真淵は、二句は「花とか見らむ」とあったはずで、「見えむ」では冬の歌に見えると評し、また朽木に花を取り合わせたのはまだ初期の歌だと述べている。
この歌は『新勅撰和歌集』に入集している。類従本では雑部に収め、定家所伝本と新勅撰和歌集では二句を「花とか見らむ」とする。
初句「春来ては」は、春が来てからはの意で、題の「残雪」の時期を示す。
二句「花とか見えむ」は、係助詞「か」と推量「む」の連体形による係り結びで、ここで句切れとなる。
三句「おのづから」は、たまたま、偶然にの意である。
四句「くちきの杣に」の「くちき」は近江国の地名朽木と、朽ちた木の意とを掛ける掛詞で、「杣」は材木を切り出す山である。次歌の第二十一首の「くち木の梅」とも語が響き合う。
結句「降れる白雪」は体言止めで、上の句と倒置の関係になる。本巻の第十七首の淡雪に続き、春の雪を詠む。
くちき:近江国の地名朽木と、朽ちた木の意とを掛ける
そま:材木を切り出す山、杣山
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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松の葉の白きを見れば春日山 木の芽もはるの雪ぞ降りける
- 次の歌
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古寺の朽木の梅も春雨に そぼちて花もほころびにけり