古寺の朽木の梅も春雨に
そぼちて花もほころびにけり
- 歌の意味
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古寺の朽ちかけた梅の木も、春雨にしっとりと濡れて、花もほころんだことだ。
- 鑑賞
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春歌 21
詞書「雨そぼ降れる朝に勝長寿院の梅ところどころ咲きけるを見て花に結びつけ侍りし」
しとしと雨の降る朝、勝長寿院の梅がところどころ咲いているのを見て、その花に結びつけた歌である。年を経て朽ちかけた古木の梅も、春雨にうるおされて花を開いたことを喜び、古寺の静けさの中に春の生命のよみがえりを見ている。賀茂真淵は二句について、朽木の用い方は悪くないと評している。
勝長寿院は、源頼朝が父義朝の菩提を弔うため文治元年(1185)に鎌倉に建立した寺で、作者にとって縁の深い寺である。類従本では詞書を「…咲たるを見て花にむすびつけし歌」とし、類従本と定家所伝本では四句以下に異同がある。底本の詞書は踊り字の箇所が読み取りにくく、「ところどころ」とした。
初句「古寺の」は、年を経た寺、すなわち勝長寿院を指す。
二句「朽木の梅も」は、朽ちかけた古木の梅までもの意で、前歌の第二十首の「くちき」と語が響き合う。前歌が咲くはずのない朽木の雪を花に見立てたのに対し、ここでは朽木の梅が実際に花を開いている。
三句「春雨に」は、詞書の「雨そぼ降れる」を受ける。
四句「そぼちて花も」の「そぼつ」は雨にしっとりと濡れることで、「も」は木だけでなく花もの意を添える。
結句「ほころびにけり」の「けり」は気づきの詠嘆で、つぼみが開いたことへの喜びを表す。
そぼつ:雨などにしっとりと濡れる
ほころぶ:つぼみが開く
くちき:朽ちた木
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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春来ては花とか見えむおのづから くちきの杣に降れる白雪
- 次の歌
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梅が枝に凍れる霜や解けぬらむ 干しあへぬ露の花にこぼれる