年経れば宿は荒れにけり梅の花
花は昔の香に匂へども
- 歌の意味
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年月が経ったので家は荒れてしまった。梅の花は、花こそ昔のままの香りで咲き匂っているけれど。
- 鑑賞
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春歌 30
詞書「故郷梅花」
年月を経て荒れ果てた古い住まいと、昔と変わらぬ香りで咲く梅の花とを対比した歌である。人の住まいは移ろうが自然は変わらないという、懐旧の思いの中にある寂しさを詠む。賀茂真淵は初句と二句はよいが、四句は作者にふさわしくないと評している。
この歌は『古今和歌集』の紀貫之の「人はいさ心も知らずふるさとは花ぞ昔の香ににほひける」を踏まえている。初句は原本に「年ふれど」とあるが、校訂者が傍註と類従本によって「年ふれば」と改めたもので、ここではその改訂に従う。
初句「年経れば」は、年月が経ったのでの意で、確定条件を示す。
二句「宿は荒れにけり」は字余りで、「けり」の詠嘆によって住まいの荒廃を嘆き、ここで句切れとなる。
三句「梅の花」は、荒れた宿に変わらず咲く梅を示す。
四句「花は昔の」は、三句の「花」を重ねて変わらぬ花を強調する。真淵はこの句をふさわしくないと評した。
結句「香に匂へども」の「ども」は逆接で、花は昔の香りで匂っているけれどと言いさし、倒置の余情を残す。次歌の第三十一首、次々歌の第三十二首とともに「故郷梅花」の三首をなし、いずれも「昔」を詠み込んでいる。
ふる:年月がたつ
にほふ:美しく咲き映える、香る
やど:家、住まい
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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鶯はいたくなわびそ梅の花 今年のみ散る習ひならねば
- 次の歌
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故郷に誰しのべとか梅の花 昔忘れぬ香に匂ふらむ