- 歌の意味
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梅の香を夢を見ている枕もとに誘い運んできて、私が目覚めるのを待っていた春の初風よ。
- 鑑賞
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春歌 34
詞書「梅花風に匂ふといふ事を人々によませ侍りしついでに」
人々に「梅花風に匂ふ」の題で歌を詠ませた折の作である。春の初風が梅の香を眠っている者の枕もとまで運び、目覚めるのを待っていたかのようだと、風を人のように捉えて詠む。夢と香りを結びつけた優美な趣向である。賀茂真淵は「夢の枕」という続け方は後の世の詠みぶりだと評している。
類従本では詞書を「…人々読せ侍りし次に」とし、類従本と定家所伝本では下の句に異同がある。
初句「梅が香を」は、風が運ぶものとしての梅の香りを示す。
二句「夢の枕に」は、眠って夢を見ている枕もとの意で、真淵が後の世風と評した続け方である。
三句「誘ひ来て」は、風が香りを誘い連れてくる意で、風を擬人化している。
四句「覚むる待ちける」は、目覚めるのを待っていたの意で、「ける」は過去の「けり」の連体形として結句の「初風」を修飾する。
結句「春の初風」は体言止めで、前歌の第三十三首と同じ結句である。梅の香を運ぶ初風が二首続けて詠まれ、前歌の袖から本歌の枕へと香の届く場所が移っている。
さむ:目が覚める
さそふ:誘い連れてくる
はつかぜ:その季節に初めて吹く風
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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梅が枝はわが衣手に匂ひ来ぬ 花より過ぐる春の初風
- 次の歌
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この寝ぬる朝明の風に香るなり 軒端の梅の春の初花