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わが宿の梅の花咲けり春雨は
いたくな降りそ散らまくも惜し

歌の意味
我が家の梅の花が咲いた。春雨よ、ひどく降ってくれるな。散ってしまうのも惜しいから。
鑑賞
春歌 36

詞書「梅花厭雨」
 我が家の梅が咲いたので、春雨にひどく降らないでほしいと呼びかける歌である。花を散らす雨を恐れる心を、万葉風の率直な言葉で詠んでいる。賀茂真淵は合点を付している。
 類従本では二句を「梅はなさけり」と七音にしている。『万葉集』巻十の「春雨はいたくな降りそ桜花いまだ見なくに散らまく惜しも」を踏まえた一首である。

 初句「わが宿の」は、作者の住まいを示し、本巻の第二十五首と同じ詠み出しである。
 二句「梅の花咲けり」は八音の字余りで、存続の「り」で言い切り、ここで句切れとなる。
 三句「春雨は」は、呼びかけの相手として春雨を示す。
 四句「いたくな降りそ」は「な〜そ」の禁止の形で、ひどく降るなの意となる。本巻の第二十九首の「いたくなわびそ」と同じ形である。
 結句「散らまくも惜し」の「散らまく」は「散らむ」のク語法で、散ることの意である。万葉集の本歌の語をそのまま用いている。

ちらまく:散ること。「散らむ」のク語法
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
この寝ぬる朝明の風に香るなり 軒端の梅の春の初花
次の歌
梅の花色はそれとも分かぬまで 風に乱れて雪は降りつつ