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水たまる池の堤のさし柳
この春雨に萌え出でにけり

歌の意味
水をたたえた池の堤に挿し木した柳が、この春雨によって芽吹いたことだ。
鑑賞
春歌 42

詞書は前の歌に続き「雨中柳」
 池の堤に挿しておいた柳の枝が、春雨にうるおされて芽吹いたことを喜ぶ歌である。挿し木が根づき芽を出すという身近な発見を、万葉風の素朴な言葉で詠み、春雨の恵みを感じさせる。賀茂真淵は合点を付している。
 底本の結句は一字が読み取りにくく、通行の本文により「萌え出でにけり」とした。

 初句「水たまる」は、水をたたえているの意で、池を修飾する。
 二句「池の堤の」は、池の周囲の土手を示す。
 三句「さし柳」は挿し木にした柳で、ここで一旦切れ、下の句で説明を加える。
 四句「この春雨に」の「この」は、今降っている春雨を指す。前歌の第四十一首の春雨の景を受けている。
 結句「萌え出でにけり」は、芽吹いたことへの気づきの詠嘆で、春雨がもたらした生命の動きを喜ぶ。

さしやなぎ:挿し木にした柳
もえいづ:芽が出る、芽吹く
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
青柳の糸よりつたふ白露を 玉と見るまで春雨ぞ降る
次の歌
浅緑染めて掛けたる青柳の 糸に玉貫く春雨ぞ降る